日本土壌肥料学雑誌
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稲発酵粗飼料用品種「リーフスター」の窒素濃度および飼料品質に対する窒素施肥の影響
草 佳那子 石川 哲也守谷 直子
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2017 年 87 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

窒素施肥が稲発酵粗飼料用の茎葉型品種「リーフスター」の窒素濃度と飼料品質に与える影響を調査した.窒素施肥量が増えるとイネ地上部の硝酸態窒素の濃度は上昇した.しかし,牛ふん堆肥6 kg m-2に加えて24 g–N m-2までの窒素施肥条件下では,収穫時期に関わらず反すう家畜の飼料として問題となる硝酸態窒素濃度には達しなかった.黄熟期において,茎葉では窒素施肥量に従って全ての窒素濃度が上昇したが,穂の各種窒素濃度に対する窒素施肥量の影響は茎葉より小さかった.茎葉型品種の「リーフスター」は他の非茎葉型品種よりも穂に移行する窒素が少なく,茎葉に残存する窒素が多かった.また,窒素施肥量の増加が乾物生産性向上に寄与しなかった24 g–N m-2の窒素施肥区では,地上部の窒素濃度の上昇により,窒素に対して相対的にNCWFE に示される易利用性炭水化物が少なかったことが,サイレージ発酵中の揮発性塩基態窒素の生成を促進し,サイレージの発酵品質が低下したと考えられた.適正な窒素施肥量は乾物生産と飼料品質の両面から重要である.

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© 2017 一般社団法人 日本土壌肥料学会
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