日本土壌肥料学雑誌
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土壌教育を考えるための土壌アンケート調査—山口市内の周辺環境の異なる3地区の小・中学校における事例—
藤間 充 種市 豊長友 義彦
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2017 年 88 巻 6 号 p. 527-537

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抄録

小・中学生の土に対する意識を明らかにするために,山口市内の周辺環境の異なる3地区(農業地区,ニュータウン地区,旧市街地区)の小学生,中学生を対象に「土」に関するアンケート調査を行った.その結果,①土の必要性の意識は地域差がなく,住んでいるまわりに「少しは土があった方がよい」が最も回答割合が高く,小中学生の持つ土の必要性の感覚であった.②「土がある場所」があった方がよい理由は,地区を問わず「木や草や花などの緑が多くなるから」が最も高い回答割合であった.③「食べ物をつくるのに土が必要」との認識は,農業地区で高い傾向であった.④地区を問わず運動場や公園あるいはスポーツをしているときが,土に触れる主要な機会で,農業地区においても農業の場で土に触れる児童・生徒は多くなかった.⑤土に対する興味は,学年の進行とともに低下した.⑥土に対する興味を高めるためには土に触れる機会が重要であることが示唆された.⑦土の機能の知識が高くても,その機能が土の必要性として認識されていなかった.⑧同一の教科書を使用していても,授業で土に触れる機会が学校によって異なり,教師により授業での土の取り上げ方に違いがあることが示唆された.

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© 2017 一般社団法人日本土壌肥料学会
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