日本土壌肥料学雑誌
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高温条件下における高温登熟耐性品種の水稲根活性と生育の特徴
金田 吉弘 津村 芽依畠山 恵子加藤 和直高階 史章佐藤 孝
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2022 年 93 巻 3 号 p. 141-147

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抄録

高温温室圃場において,高温登熟耐性品種の水稲根および穂温,群落の光環境などの特性を明らかにした.穂揃期における高温登熟耐性品種ふさおとめの深さ5 cm以下の水稲根はあきたこまちに比べて多かった.登熟期の高温区におけるふさおとめの出液速度は,あきたこまちに比べて有意に大きく水稲根活性が高かった.高温区におけるふさおとめの穂温は,あきたこまちに比べて有意に低かった.高温区のふさおとめの相対照度は,高さ80 cm以下30 cmまでの各高さにおいてあきたこまちに比べて有意に高い値を示した.常温区のLAIは各高さにおいて両品種間で有意な違いは認められなかった.高温区におけるふさおとめのLAIは,あきたこまちに比べて70 cm以上の最上位,60~70 cm, 50~60 cmまでの上層において有意に低下した.高温区ではふさおとめの乳白粒および基白粒の発生率があきたこまちに比べて有意に低下した.常温区,高温区の各区において収量の品種間差は認められなかった.以上のことから高温登熟耐性品種ふさおとめは,高温条件下において従来品種あきたこまちに比べて根の伸長や活性が勝り,群落上層部でのLAIの増加が少なく登熟に有利な草型を有することが明らかになった.

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© 2022 一般社団法人日本土壌肥料学会
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