日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
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ドローン空撮画像の教師なし分類による圃場内土壌区分図の作成
森下 瑞貴 石塚 直樹
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2023 年 94 巻 4 号 p. 254-262

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抄録

本研究の目的は土壌サンプリングにおけるドローン空撮画像の活用に資する知見を得ることである.農地における一般的な土壌診断では,圃場内の数カ所から採取した土壌を混合して分析する.しかし,実際の農地では土壌特性が空間的に不均質であり,試料採取地点の選択方法によっては診断結果が圃場の生産性を的確に反映しない可能性がある.そこで本研究では,土壌診断のためのサンプリング計画における補助情報としてドローン空撮画像を利用することに着目し,1 haの圃場を対象に空撮画像の教師無し分類結果と土壌理化学性の関係について調査した.空撮はダイズ収穫直後に行い,マルチスペクトル画像,熱赤外画像,Digital Surface Model画像のピクセル値を特徴量とし,圃場内の各ピクセルをk-means++法によって分類した.さらに,地理情報システムでスムージング処理を行い,圃場内の土壌区分図を作成した.これを圃場内で格子状に取得した土壌試料の全炭素量,全窒素量,含水率,粒度組成,pH(H2O),電気伝導度と比較した.本調査で得られたクラスターの分布は,土壌の分析値を特徴量としていないにもかかわらず,圃場内の土壌理化学性の分布傾向と対応していた.また,作付け期間中のダイズの生育分布とも整合的であった.以上の結果から,ドローン空撮画像の教師なし分類によって得られる圃場内の区分図は土壌診断におけるサンプリング地点選定の補助情報として有効であることが示唆された.

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© 2023 一般社団法人日本土壌肥料学会
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