日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
94 巻, 4 号
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報文
  • 増倉 勇樹, 前田 守弘, 中野 知佑, 宗村 広昭, 山根 信三, 仁科 勇太
    2023 年 94 巻 4 号 p. 245-253
    発行日: 2023/08/05
    公開日: 2023/09/05
    ジャーナル 認証あり

    土壌からの一酸化二窒素(N2O)放出を抑制する方法としてバイオ炭の土壌施用が注目されているが,バイオ炭が土壌中で経年変化するとN2O放出抑制効果が衰えることが報告された.しかし,バイオ炭の原材料の違いや焼成条件が経年変化およびN2O放出抑制効果に与える影響を調べた研究はみあたらない.そこで本研究では,ヤシガラ,モミガラを500°Cまたは800°Cで焼成したバイオ炭について,経年変化を模した酸化処理を施し,脱窒由来のN2O放出抑制効果および表面官能基,構成元素に及ぼす影響を調べた.

    バイオ炭(酸化処理無)はいずれもN2O放出抑制効果を示した.同一の焼成条件で比較すると,ケイ素含量が少ないヤシガラでより効果がみられた.また,同一の原材料で比較すると,表面官能基が少ない800°C焼成バイオ炭でより効果がみられた.800°C焼成では,酸化処理によって,いずれの処理でもN2Oの還元を阻害するC=O(カルボキシル基,カルボニル基)のピークは変化せず,官能基の変化もみられなかった.このことが高いN2O放出抑制効果の一因と考えられた.一方,500°C焼成バイオ炭では,酸化処理によってC=Oが増加し,N2O放出量が増大した.以上,高温焼成バイオ炭では,脱窒由来のN2O放出抑制効果が長期間継続することが示唆された.

  • 森下 瑞貴, 石塚 直樹
    2023 年 94 巻 4 号 p. 254-262
    発行日: 2023/08/05
    公開日: 2023/09/05
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は土壌サンプリングにおけるドローン空撮画像の活用に資する知見を得ることである.農地における一般的な土壌診断では,圃場内の数カ所から採取した土壌を混合して分析する.しかし,実際の農地では土壌特性が空間的に不均質であり,試料採取地点の選択方法によっては診断結果が圃場の生産性を的確に反映しない可能性がある.そこで本研究では,土壌診断のためのサンプリング計画における補助情報としてドローン空撮画像を利用することに着目し,1 haの圃場を対象に空撮画像の教師無し分類結果と土壌理化学性の関係について調査した.空撮はダイズ収穫直後に行い,マルチスペクトル画像,熱赤外画像,Digital Surface Model画像のピクセル値を特徴量とし,圃場内の各ピクセルをk-means++法によって分類した.さらに,地理情報システムでスムージング処理を行い,圃場内の土壌区分図を作成した.これを圃場内で格子状に取得した土壌試料の全炭素量,全窒素量,含水率,粒度組成,pH(H2O),電気伝導度と比較した.本調査で得られたクラスターの分布は,土壌の分析値を特徴量としていないにもかかわらず,圃場内の土壌理化学性の分布傾向と対応していた.また,作付け期間中のダイズの生育分布とも整合的であった.以上の結果から,ドローン空撮画像の教師なし分類によって得られる圃場内の区分図は土壌診断におけるサンプリング地点選定の補助情報として有効であることが示唆された.

技術レポート
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土壌断面調査の実際
国際連携による土壌肥料研究の広がりと現地課題への挑戦
現地,空,宇宙から~土壌物理性の簡易診断技術の最前線~
オミックス技術が切り開く土壌肥料学
理想の農業を追求する—サステイナブルで革新的な食糧生産を支える基礎研究と現場技術—
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