2024 年 95 巻 5 号 p. 306-314
水田輪作地帯における排水性・保水性に関連する土壌の乾湿は,畑利用時の圃場管理・栽培管理における一つの重要な情報と考えられる.約500 haの水田地帯を対象に,植物被覆率の低い2月の,土壌水分が異なる3時期の航空機リモートセンシングデータ(航空画像)を解析し,圃場の乾湿を相対的に5段階区分した.対象地は,国土調査において大谷川と小貝川が蛇行と流路変更を繰り返した(茨城県,1986)とされる小貝川低地にあり,隣接する圃場間,または1筆圃場内においても排水性・保水性の良否が大きく異なると推定された.乾湿区分結果を基に現地調査を実施した結果,浅礫層の存在と,緻密で透水性の低い耕盤やかつて黒泥に分類されたと考えられる下層土の存在が確認され,下層の透水性・保水性の違いが乾湿区分に反映されていると考えられた.また,航空画像の解析による乾湿区分結果と生産者の作付け経験に基づく達観評価を比較すると概ね一致する傾向が認められ,データ解析により得られた情報を生産現場で利用できる可能性が示唆された.一方,圃場利用別(水稲あと,大豆あと,麦作付中)に解析すると,水稲あとの圃場は大豆あと及び麦作付け中の圃場より一致率が低く,生産者による達観評価に比べて乾燥側に区分された.これは,対象地域において,航空画像を取得した2月時点では水稲作付け後の裸地圃場で表面の残渣量が多いこと,砕土率が低いことが要因と考えられた.