ダイズ収量の安定化には出芽の確保が重要である.しかし,気候変動の影響で干ばつのリスクが高まると予測されており,種子の吸水不足による発芽不良の危険性が今後増す可能性がある.種子の吸水促進に効果がある技術として土壌鎮圧が挙げられるが,乾燥土壌での効果については不明瞭な部分が多い.よって本研究では,乾燥土壌条件での土壌鎮圧の効果と種子近傍の水分移動について明らかにすることを目的とした.さらに,種子粒大も出芽率に影響することが知られているが,土壌鎮圧との複合的な影響に関する報告は見当たらないことから,種子粒大の影響も検証した.本研究は,土壌水分が3水準(−0.01 MPa, −0.10 MPa, −1.40 MPa),土壌乾燥密度が2水準(0.65 Mg m−3,0.95 Mg m−3),種子粒大が3水準(9.5 mm, 8.5 mm, 7.3 mm)の処理を設け,恒温室内(25°C設定)で試験を行った.土壌鎮圧(乾燥密度0.95 Mg m−3)によって,−0.10 MPaと−1.40 MPaの時に播種直後の種子吸水速度が高まった.この時の土壌の不飽和透水係数は極めて小さく水分移動が期待できない状態だったことから,種子吸水速度の促進は毛管連結が形成されたことによる水分移動の促進ではなく,種子近傍に利用可能な水分を集めたことによるものと考えられた.また,土壌水分が同じ場合は小粒種子ほど種子含水比が高いことが明らかとなり,小粒種子と土壌鎮圧の組み合わせが発芽に必要な水分を確保するのに有利な条件である可能性が示された.