日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
報文
滋賀県の水田における土地利用の違いによる乾田化と土壌炭素含量の実態
廣瀬 亮太郎 小松 茂雄高山 尊之武久 邦彦前島 勇治高田 裕介
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2026 年 97 巻 4 号 p. 196-205

詳細
抄録

本県の水田では,地力保全基本調査事業(1959~1978年)で湿田割合が高かったものの,その後の基盤整備や田畑輪換の実施により,乾田化が進行していると推測され,同調査事業を基図として作成された現行の農耕地土壌図とは乖離があると考えられる.そこで,土壌図で湿田割合の高い滋賀県内3地域を対象に多地点簡易土壌断面調査を行い,地下水グライ層の出現位置を把握し,乾田化の進行を評価するとともに,それに伴う表層土壌の全炭素含量の変化を評価した.その結果,土壌図と同じくグライ低地土群に分類された割合は,米原市61%,彦根市4%,野洲市5%であり,米原市ではグライ低地土群の割合が高かったが,3地域ともグライ低地土群に分類されなかった地点の大半は灰色低地土群に分類された.いずれの地域も同調査事業以降,暗渠排水等の基盤整備に加え,コムギ・ダイズを組み入れたブロックローテーションに伴う田畑輪換が継続的に実施されており,地域全体での地下水位の低下が示唆された.また,10年あたりの畑作への平均転換回数は,米原市2.5回,彦根市3.3回,野洲市3.2回であり,米原市より転換回数が多く,壌質な下層土の地点が多い彦根市および野洲市では,グライ低地土群の割合が大きく低下した.さらに各地域における表層土壌の全炭素含量の平均値は,乾田化した地点で低下した.以上のことから,土地利用変化等により湿田の乾田化が進行し,それに伴う表層土壌の全炭素含量の低下が明らかになった.

著者関連情報
© 2026 一般社団法人日本土壌肥料学会
前の記事 次の記事
feedback
Top