竹中大工道具館研究紀要
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わが国中世のいわゆる“木の葉型鋸”について —(第3報)再び実験用鋸による適正鋸歯角度の模索—
星野 欣也平澤 一雄渡邉 晶土屋 安見
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1991 年 3 巻 p. 57-61

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抄録
“木の葉型鋸”の適正鋸歯角度を設定するための、前回の実験では、設定したナゲシ角の上限に最高判定比が現れたため、適正鋸歯角度を指定することができなかった。そこで今回は、さらにナゲシ角の大きな個体を用意して、再び実験を行った。 (1) 供試鋸は、厚さ1.3cmの鋸用鋼板を用い、歯道の中央部150mmの間に頂角55°の二等辺三角形の鋸歯を刻んだ、ナゲシ角30°、35°、40°、45°、の4点の実験用鋸を用意した。 (2) 供試材は、断面4.5cmx 1O.5cmの檜材を使用した。 (3) 6名のパネルが、一対比較法による切れ味の比較テストをおこない、優劣を判定した。 (4) 実験結果を計数処理した結果、4点の鋸の切れ味に有意差は認められなかったが、最も評価が高かったのは、ナゲシ角40° (実測値=38.31°) の個体であった。 (5) 今回採用したような鋸歯形式に対しては、被加工材が中間材(実験では終始檜材を使用)の場合、鋸歯のナゲシ角の最適値はおおむね35°-40°の間に存在すると考えられる。
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© 1991 公益財団法人竹中大工道具館
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