抄録
本稿は明治時代から大正、昭和にかけて活躍した大阪の大工道具鍛冶一門「善作」を調査したものである。主な内容は次の通り。
1. 「 善作」には言い伝えや伝説は多数あるが、正確な情報に基づく考察はこれまで無かった。そこで、竹中大工道具館が所蔵する善作の資料や一般書籍に掲載されている記事はもちろん、大工や木工家、道具商などがこれまで個人で調査された情報も加味し、現時点で善作について分かっていることをまとめた。
2. 初代から三代に至る善作の経歴を明らかにした。
3. 三代目善作の疎開先について関係者の証言を得ることができた。
4. 作品の判断基準を示し、現時点で把握している作品と刻印を一覧表にまとめた。