竹中大工道具館研究紀要
Online ISSN : 2436-1453
Print ISSN : 0915-3683
近世の建築用刀子系道具について —伝世品をはじめとした関連資料の調査報告その7—
渡邉 昌
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1997 年 9 巻 p. 1-49

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抄録
近·現代の熟練した大工は、建築工事において5種類9点の刀子系道具を使用していたと考えられる。 では、近世の建築用刀子系道具には、どういう種類があったのだろうか。近世の諸資料を調査した結果、次のように要約することができる。 (1)近世の建築用刀子系道具は、切削用、板割用、溝削用に分類でき、少なくとも6種類12点のものが使われていた。 (2) 近世における建築用刀子系道具の名称が、近·現代にも継承されていた。 (3) 建築用刀子の刃部は、18世紀後半から19世紀前半頃、外湾形状から直線形状に変化したと推定した。 (4) 建築用刀子には「大中小」の区分があり、「大」が6寸くらい、「小」が3寸くらいであったと推定した。 (5) 建築用刀子系道具は、16~17世紀頃に、建築生産面での変化を背景として、装着形式の分化があったと推定した。
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© 1997 公益財団法人竹中大工道具館
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