2018 年 336 巻 p. 141-
本稿は、今日の学習理論の進展を踏まえ、新学習指導要領で示された「主体的・対話的で深い学び」を道徳科において実現するために求められる教材開発と活用の在り方を検討する。今回の学習指導要領改訂では、学びに関する理論的実践的研究成果に基づいて、「何を学ぶか」だけでなく「いかに学ぶか」という視点での授業改善が議論されてきた。道徳科においても「主体的・対話的で深い学び」の視点での授業改善への取組みがみられるようになっているが、他方で、この新たな視点が教材論に結びついていない状況がみられる。本稿では、学習指導論と教材論を架橋することを目指して、1.道徳科で新たに導入される教科書の位置付けを確認した上で、2.学習理論から要請される教材開発の視点を明らかにし、3.教材開発・活用を各学校におけるカリキュラム・マネジメントの中に位置付ける。以上を踏まえ、4.教材活用の可能性について実践事例に基づいて具体的に検討する。