表層の密度小の海水を何らかの方法で深層に押し込んだ場合, 押し込まれた表層水は深層の密度大の海水と混ざり合って表層水より密度大深層水より密度小の混合水塊となる.この水塊は連続成層のある場合, その密度に応じた密度の位置 (水深) のところまで上昇する.このように深層水そのものではないが表層水と混ざった深層海水が上昇することになる.海洋における密度構造 (連続成層) の存在を利用することによって栄養塩に富む深層水を連続成層中のある位置まで上昇させることができる.押し込むためのエネルギーとして波浪を利用し平均水位の上昇を図り, 位置のエネルギーでもって表層水を深層部に押込み噴出させ得られた混合水塊をその密度に応じた位置まで上昇させることによる深層水湧昇について検討する.