抄録
羅臼町でエゾパフンウニの禁漁期 (7~9月, 産卵期で生殖巣が崩れやすいが観光客が最も多い) の出荷の可能性を検討するため, 2003~2004年, 循環冷却で2~4℃ を保った海洋深層水で蓄養し成熟抑制を試みた. 実験は0.5トン水槽で行い, 給餌蓄養区, 無給餌蓄養区および天然ウニの生殖巣の状態を2週間毎に5段階 (I~V) で評価した. 2003 (2004) 年, 最も商品価値の高い皿期は蓄養開始時の6月25日 (5月11日) に約 (47) 70%で, 天然ウニは7月23日 (8月17日), 給餌蓄養区は8月20日 (9月14日), 無給餌蓄養区は8月20日 (8月17日) に10%以下になった.7月23日 (8月17日) のIII期出現率は給餌蓄養区で約27 (35) %, 無給餌蓄養区で約40 (10) %であった.III期生殖巣の官能検査 (2004年のみ) では各蓄養区とも7月6日 (蓄養56日後) まで, 食味, 外見とも「普通」以上の評価を得た.