海洋深層水研究
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9 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 田村 吉史, 田中 常雄, 佐々木 章晴, 渡邉 徹, 高松 賢一
    2008 年 9 巻 2 号 p. 51-57
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    羅臼町で取水された海洋深層水やその濃縮塩水を用いてゴーダチーズとヨーグルトを試作し不使用品と比較した.ゴーダチーズでは, 深層水2%添加または無添加の原料乳に通常の食塩水または海洋深層水濃縮塩水をブラインとした4種類の製品を, 真空包装後, 熟成 (4℃ で25日間の後, 8℃ で42日間) させた.各製品間には原料乳熟成率 (水溶性窒素量/全窒素量) やTCA可溶性窒素量/全窒素量比に明瞭な差はなかった.海洋深層水を原料乳とブラインの両方に使用すると, 不使用品に比べて熟成中の遊離アミノ酸の生成量が多くなる傾向がみられたが, ブラインに海洋深層水濃縮塩水を使用するとチーズ表面が溶解した.ヨーグルトは, 0, 2ないし4%深層水を混合し滅菌・冷却した10%スキムミルク溶液に乳酸菌スターターを混合し, 42℃ で6時間発酵させて作製した.深層水を添加したヨーグルトでは, 明瞭ではないが, pH低下, 酸度上昇及び乳酸菌増殖の傾向が認められた.
  • 瀬戸 雅文
    2008 年 9 巻 2 号 p. 59-68
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    漁港泊地内の海底面に沿って海洋深層水を噴流状態で放出すると, 周辺の海水を大規模に連行しながら流れの幅を扇状に増大させる. 連行による流量の増加とともに噴流内の流速は減少し, 流れは次第に密度流的な同心円状の拡がりに変化しながら, 下層密度流として港口の下層部より流出し, 流出量に相当する外海水が表層より漁港内へ流入し海水交換が促進される. 本研究は, 2006年より海洋深層水の本格取水が開始された羅臼漁港をモデルケースとして, 港内で最も閉鎖性が高く水質低下が認められる, 西側澗内より海洋深層水を放出した場合の海水交換促進効果を数値解析および水理模型実験より検討した. その結果, 海洋深層水の放水による当該海域の海水交換速度は, 大潮時における海水交換速度と比較して2~12倍の促進効果が, 密度フルード数で評価される放出条件に依存して発現することがわかった
  • 鈴木 秀和, 渡邉 徹, 南雲 保, 藤田 大介
    2008 年 9 巻 2 号 p. 69-78
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    北海道知床らうす簡易取水施設 (羅臼町) で, 深層水 (取水深度218m) をかけ流している屋内実験水槽内に出現した付着珪藻類を2004年12月から1年間調べ, 光学および走査型電子顕微鏡で観察し, 7属11種の出現を確かめた.主要種は, Achnanthes sp., Amphora sp., Cocconeis pinnata, Cocconeis sp.1, Naicula sp.1, Nitzschia tabicolaおよびTryblionella sibulaで, このうち.Amphora sp., Cocconeis sp.1, Navicula sp.1およびNitzschia tubicolaは高頻度で出現した.これらの種類は他の深層水施設の報告に記録がなく, 本深層水に特徴的に出現した可能性が高い.本研究の結果は, 深層水に対する珪藻の生物指標的アプローチの可能性を示唆しており, 今後各地の深層水施設に出現する珪藻の種組成とその動態を調査することにより, 海洋深層水の新たな特性の発見が期待されると結論した.
  • 山石 秀樹, 渡邉 徹, 藤田 大介
    2008 年 9 巻 2 号 p. 79-81
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    エゾパフンウニの生殖巣をウニ折りに加工する際には, 身崩れ防止や保存のためにミョウバンの人工海水 (食塩水) 溶液が用いられるが, ミョウバンの使用量が多いと特有の苦みを呈する.そこで, 羅臼町沖 (1.4km沖, 水深218m) 海洋深層水を用いたミョウバン溶液 (0.2%, 0.5%および1.0%) と従来法の人工海水を用いたミョウバン溶液 (1.0%, 対照区) で生殖巣を処理し, 細菌検査と官能検査の結果を比較した.各生殖巣は10分間の浸漬後120gずつ折詰して冷蔵し (5℃), 1, 5, 10および15日目に分析した.各区とも一般生菌数は10日目まで10, 000個/g未満 (最大は15日目の23, 000個/g), 大腸菌群は陰性で, 食品衛生法上の生食用鮮魚介類の基準 (一般生菌数100, 000個/g以下, 大腸菌群陰性) を満たした.官能検査では, 食味, 外見, 総合評価のいずれも深層水試験区が対照区よりも高い値を示し, ミョウバンの濃度が低いほど評価が高かった.
  • 渡邉 徹, 山石 秀樹, 石亀 正則, 山下 和則, 藤田 大介
    2008 年 9 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    羅臼町でエゾパフンウニの禁漁期 (7~9月, 産卵期で生殖巣が崩れやすいが観光客が最も多い) の出荷の可能性を検討するため, 2003~2004年, 循環冷却で2~4℃ を保った海洋深層水で蓄養し成熟抑制を試みた. 実験は0.5トン水槽で行い, 給餌蓄養区, 無給餌蓄養区および天然ウニの生殖巣の状態を2週間毎に5段階 (I~V) で評価した. 2003 (2004) 年, 最も商品価値の高い皿期は蓄養開始時の6月25日 (5月11日) に約 (47) 70%で, 天然ウニは7月23日 (8月17日), 給餌蓄養区は8月20日 (9月14日), 無給餌蓄養区は8月20日 (8月17日) に10%以下になった.7月23日 (8月17日) のIII期出現率は給餌蓄養区で約27 (35) %, 無給餌蓄養区で約40 (10) %であった.III期生殖巣の官能検査 (2004年のみ) では各蓄養区とも7月6日 (蓄養56日後) まで, 食味, 外見とも「普通」以上の評価を得た.
  • 古屋 温美, 中泉 昌光, 矢本 欽也, 横山 純, 黒澤 馨, 長野 章, 吉水 守
    2008 年 9 巻 2 号 p. 89-97
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    北海道羅臼町において地域が主体となって海洋深層水の利活用を進めるためには, 深層水関連産業が町の生産額等にどれだけ効果を創出するか, 事前に認識しておく必要がある. 本研究では, 先に作成した羅臼地域産業連関表を基に, 地域の水産業の位置付けや町民所得水準など現状の産業構造特性を分析し, 将来像の実現に必要な産業振興の方向性を提示した. また, 産業振興方策を具体化するための7つの地域振興シナリオと12の具体的な取り組みを示し, このうち8つの取り組みに対して目標値を設定した. 設定した目標値は羅臼マリンビジョン協議会での議論を経て, 無理のない値とした.(3) 8つの取り組みが将来実現した場合の直接効果を推定し, これを産業連関分析における最終需要増分として, 地域経済波及効果を推計した.(4) 地域振興シナリオのうち, 既に取り組まれた事例について目標の進捗, 取り組みの問題点と課題を抽出し, 再評価を行った.
  • 大塚 耕太郎
    2008 年 9 巻 2 号 p. 103-105
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 駿河湾深層水編
    岡本 一利
    2008 年 9 巻 2 号 p. 106
    発行日: 2008/12/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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