海洋深層水研究
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海洋深層水を用いた陸上蓄養によるエゾパフンウニ成熟抑制の試み
渡邉 徹山石 秀樹石亀 正則山下 和則藤田 大介
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2008 年 9 巻 2 号 p. 83-88

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抄録

羅臼町でエゾパフンウニの禁漁期 (7~9月, 産卵期で生殖巣が崩れやすいが観光客が最も多い) の出荷の可能性を検討するため, 2003~2004年, 循環冷却で2~4℃ を保った海洋深層水で蓄養し成熟抑制を試みた. 実験は0.5トン水槽で行い, 給餌蓄養区, 無給餌蓄養区および天然ウニの生殖巣の状態を2週間毎に5段階 (I~V) で評価した. 2003 (2004) 年, 最も商品価値の高い皿期は蓄養開始時の6月25日 (5月11日) に約 (47) 70%で, 天然ウニは7月23日 (8月17日), 給餌蓄養区は8月20日 (9月14日), 無給餌蓄養区は8月20日 (8月17日) に10%以下になった.7月23日 (8月17日) のIII期出現率は給餌蓄養区で約27 (35) %, 無給餌蓄養区で約40 (10) %であった.III期生殖巣の官能検査 (2004年のみ) では各蓄養区とも7月6日 (蓄養56日後) まで, 食味, 外見とも「普通」以上の評価を得た.

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