抄録
熟蚕期において, 成熟がすすむにつれて, カイコ幼虫の走光性行動のパターンが変化することが観察された.彷徨期においては, 頭部の大きな屈曲運動をともなった走光性を示し, 2光源に対しては, その中線上を前進する.成熟がすすみ, 最終脱糞後は頭部の大きな屈曲運動はみられず, 幼虫は2光源の一方に, 最初から向かう.走光性に関する光感閾も幼虫の成熟にともなって変化し, みかけ上, 光感受性が次第に低下した.光受容器である単眼の視軸や組織構造を調べ, 熟蚕期の走光性の変動が, この時期にみられる視覚機能の変化と関連している可能性について議論した.