次代幼植物の生長パターンは, 種子形成期の親植物の受けた温度条件によって変化する.日長の影響は低温条件では現われないが高温条件が伴ったときに認められる.
日本型インド型のいずれでも, 地上部, 地下部およびメソゴチールの生長は, 親植物が高温条件下におかれたとき促進される.この傾向は品種の生長感受性とは無関係である.
種子形成期の温度によって, インド型にくらべ日本型イネのメソコチールの生長はより大きな変異を生じた.
インド型イネのコレオプチールの生長は, 日本型イネに比べ, 低温の前処理によって促進される傾向を示した.本報では温度に対するコレオプチールとメソコチールの生長反応とイネの生態種であるインド型と日本型の生息地との関係をも論じている.