植物の茎内水流量をオンライン・リアルタイムで計測するシステムを開発し, その特性解析を行った.このシステムでは, 茎の表面にメインヒーターを装着し熱量 (Q) を茎に与えた.Qは茎内水流に伴う熱流 (qf) , ヒーター表面から周囲への熱流 (qs) および熱伝導による茎の上下方向への熱流 (quとqd) によって拡散され, 加熱部位での熱収支はQ=qf+qs+qu+qdで表される.このシステムではQを操作してqsを一定に制御し, さらに2つのサブヒーター (メインヒーターの上・下部に装着) の加熱量を操作してquとqdも一定に制御した.これによって加熱部位の熱収支解析が簡略化され, 茎内水流によるqfの変動がQの変動としてとらえられた.そして, Qおよびメインヒーターの直上部と直下部の茎温差 (Tu-Td) を測定することによって, 理論式 ( (5) 式) により, 茎内水流量をキャリブレーションなしに直接求めることができた.これを熱流制御法 (Heat Flux Control method, HFC method) と呼ぶことにする.ガラス管を用いた茎のモデルと実際の植物においてオンライン計測を行った結果, 本システムは優れた動特性と静特性を示し, 茎内水流の定量的な解析に有効であり, 植物の水分動態に関する研究に応用しうることがわかった.