生物環境調節
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地下部への温度ストレスによるプロリンの植物体内への集積について
オズチュルク ムニール佐藤 雅志高橋 成人
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1986 年 24 巻 3-4 号 p. 79-85

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抄録
プロリンは, 植物の環境ストレスに対する植物体内の一つのパラメーターとしての物質として知られている.本研究は, 生理生態的な違いをもつ植物の地下部に高・低温度ストレスを与えプロリンの植物体内での変化を検討したものである.用いた植物は冷涼な気候に適したヒマワリおよびアカザの一種と, 暖い気候に適応したヒヨコマメ, アオゲイトウ, およびキビの5種である.これらの植物を10, 18および28℃で地下部を2週間処理したとき, 冷涼な気候に適した植物は, 地下部, 地上部とも温度が高まるとともにプロリン含量が増加したが, 暖い気候に適した植物では減少した.一方地下部の温度を短時間, 高温から低温に, また逆に低温から高温に変化させたとき, 温度変化および植物種の違いのいかんにかかわらず, 地上部, 地下部ともプロリンが増加集積した.したがって一般に植物は, 短時間の温度ストレスを地下部に受けたとき, プロリンが植物体内に集積する傾向をもつと推定される.しかし, 低温ストレスを与えたとき処理時間のいかんにかかわらず, 冷涼な気候に適した植物は, 温暖な地域に適応した植物よりもプロリンの集積が著しいことが認められた.
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© 日本生物環境工学会
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