抄録
有機物の施用がかんがいによって起こる土壌中の可溶性塩類の移行, 集積に対してどのような影響を与えるかを知るため, 実験室における土壌カラムを用いたモデル実験によって検討した.土壌カラムの中間層として, 家畜廐肥あるいは落葉堆肥を施用した処理区と, 土壌のみの無処理区を設けた.かんがい水による塩類の垂直方向への移行はすべての土壌カラムで認められたが, 塩の土壌中での移行の様相は, 土壌に有機物施用を行ったか否かで異なった.土壌中での塩の移行はカルシウムよりもナトリウムのほうが速いことを認めたが, このことはナトリウムイオンのほうがカルシウムに比べて土壌コロイドへの吸着が弱いことなど, ナトリウムイオンの物理化学的性質によるものと思われた.有機物には陽イオンをその構造内に保持する能力のあることが認められ, この能力は用いた有機物の中では家畜厩肥でもっとも高いことが示された.