生物環境調節
Online ISSN : 2185-1018
Print ISSN : 0582-4087
ISSN-L : 0582-4087
シュンギクの花序形成におよぼす日長と温度の影響
ユーリアン藤目 幸擴奥田 延幸
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 34 巻 1 号 p. 21-28

詳細
抄録
シュンギクの早晩生の異なる4品種を供試して, 制御温室内で花序形成におよぼす日長と温度の影響を調査した.最低夜温を20℃以上に管理したガラス温室内で子葉が展開するまで育苗した後, 制御温室に移して日長 (10時間・16時間日長) と温度 (15℃, 20℃, 25℃, 30℃) を組み合わせた8処理区を設けた.“博多改良中葉”では, 処理30日後に生育温度15℃と20℃の16時間日長区で花序を形成しており, 花芽発達段階はそれぞれ小花形成後期と総包形成前期に発達していた.処理45日後には15℃と20℃の16時間日長区における花芽発達段階はさらに進み, いずれも花弁形成前期に達していた.処理60日後にはすべての温度区の16時間日長区において花序形成は認められ, 15℃, 20℃, 25℃, 30℃区の花芽発達段階はそれぞれ花弁形成後期, 花弁形成後期, 花弁形成前期, 総包形成後期であった.処理60日後の“お多福”および75日後の“株張り”と“大葉”の花序は15℃の長日区だけで形成され, 短日区で花序は形成されなかった.すべての温度区で花序が形成された“博多改良中葉”の場合, 生育温度が低くなるほど着花節位は減少していた.以上の結果から, シュンギクの花序形成は長日条件下で誘導され, 生育温度が低いほどその花序形成は促進されると考えられた.
著者関連情報
© 日本生物環境工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top