広島県のダイズ栽培圃場における紫斑病による種子の発病状況を調査した結果, 7月以前にi播種した早播き栽培で著しく多発することが明らかになった.早播き栽培は雨期 (つゆ) に遭遇する期間が長く, とくに罹病種子を播種した栽培でみられたように, 雨期の到来以前に茎葉に発病がみられた場合, 雨期に茎葉の発病が著しく助長され, その影響が収穫期にまで及び, 最終的に罹病種子の多発の原因となった.さらに, 早播き栽培では7月以降に播種する遅播き栽培に比べ種子の登熟期間が長くなり, このことによる種子の感染期間の延長も発病を助長する要因となった.したがって, 品種に適応される播種期の範囲内で可能な限り播種時期を遅らせる栽培が, 紫斑病による種子の発病を抑制する有効な耕種的防除法の一つと考えられる.