生物環境調節
Online ISSN : 2185-1018
Print ISSN : 0582-4087
ISSN-L : 0582-4087
水耕栽培の主要藻類であるクラミドモナス属緑藻の増殖に及ぼすインドール類緑化合物の効果
野々村 照雄松田 克礼白鳥 里美松田 一彦原田 聰豊田 秀吉
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 39 巻 2 号 p. 127-134

詳細
抄録
無遮光下の水耕栽培で繁茂する緑藻の生育を抑制するため, トマトの青枯病防除薬剤である3- (3-インドリル) 酪酸を含む9種のインドール類縁化合物について, 抗緑藻活性を検定した.まず, クラミドモナス属の代表種であるChlamydomonas reinhardtiiを使用し, その増殖抑制効果を調べたところ, 3-インドールプロピオン酸 (IPA) , 3-インドールアクリル酸 (IAcA) , 3- (3-インドリル) 酪酸 (3-IBA) の3化合物に強い抗緑藻活性が認められた.これら化合物のうち, IPAはトマト幼苗に強い薬害を示したが, 後二者の処理濃度範囲においては, 薬害を誘起することなく緑藻の増殖が抑制された.また, 実際の水耕栽培液中で生育する主要緑藻 (クラミドモナス属緑藻) を分離し, IAcAと3-IBAの効果を検討したところ, いずれの化合物においても高い抑制活性が認められ, さらに, 上記の水耕栽培液に処理した場合にも同様の効果が確認されたことから, これら化合物が水耕栽培における緑藻の防除薬剤として利用できる可能性が示唆された.
著者関連情報
© 日本生物環境工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top