抄録
栽植密度を異にして栽培した夏ソバの開花期における個体群光合成速度 (Pn-canopy) を, 閉鎖系同化箱を用いて測定し, これに13CO2を併用することにより個体群各層における葉身光合成速度 (Pn-layer) を推定した.Pn-canopyは正午前後に最大値を示し, 低密度区 (64個体/m2) , 高密度区 (136個体/m2) でそれぞれ19.7, 27.4μmol CO2m-2s-1であった.両区とも, 光合成有効放射1800μmol m-2s-1においてもPn-canopyは飽和現象を示さなかった.Pn-layerの最大値は最上位層でみられ, 低密度区, 高密度区でそれぞれ21.4, 20.4μmol CO2m-2s-1で, 下層ほどこの値は低下していった.Pn-layerは各層とも低密度区の方が高かった.13Cの同化量は両区とも40~60cm層で多く, Pn-canopyに対するこの層の貢献度は約55%であった.ソバにおいては, 低密度条件下では葉厚を増すことにより, 高密度条件下では群落吸光収係数 (K) を小さくすることにより, それぞれPn-canopyを改善していることがわかった.