生物環境調節
Online ISSN : 2185-1018
Print ISSN : 0582-4087
ISSN-L : 0582-4087
根域制限がキャベツ苗の生育と炭水化物の動態に及ぼす影響
佐藤 文生吉岡 宏藤原 隆広
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 39 巻 4 号 p. 235-243

詳細
抄録

キャベツ苗において, 根域容量が生育と炭水化物含量, 光合成に及ぼす影響と, 根域制限の解除が生育と炭水化物含量, 同化産物の分配に及ぼす影響について調査した.植物体の乾物重は根域容量が9mLから300mLへと拡大するにつれ増加した.根域容量が小さいほど葉への乾物分配率が低下した.光合成速度は根域容量が大きいほど高かった.葉のデンプンと可溶性糖含量は, 9mL区の植物体で最も高く, 300mL区の植物体で最も低かった.根では, デンプンは認められなかったが, 可溶性糖含量は根域容量が小さいほど高かった.植物体を根域容量9mLの容器から300mLの容器へ移植することによって根域制限を解除したとき, 植物体の生育量は増加した.葉と根の炭水化物含量は根域制限の解除によって減少した.葉に取り込まれた14C同化産物の総量は解除区が対照区に比べ高く, また, 葉から茎や根への14C同化産物の分配率も高かった.これらの結果より, キャベツ苗では根域制限に反応して炭水化物代謝が変化し, この変化は苗の生育に密接に関係することが示唆された.

著者関連情報
© 日本生物環境工学会
次の記事
feedback
Top