生物環境調節
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新指標“花成強度”を用いたダイコンの春化中の高温による離春化程度の明確化
千春 鎭斎藤 隆
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2003 年 41 巻 4 号 p. 353-359

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抄録

新指標“花成強度”を用いてダイコンの離春化程度を明確にするため, 花房形成に対する低温処理中の高温処理の影響について検討した.‘耐病総太り’の幼苗を6℃で低温処理中に, 17, 24および30℃の高温に, 1日当たり4, 6および8時間遭遇させる断続低温処理を行った.温度処理終了後, 花成の様相を調べ, “花成強度”を求めた.さらに, 花成強度を用いて, 連続低温処理に対する断続低温処理の春化作用累積時間, ならびに, 断続低温処理した場合の1日当たりの春化作用時間と離春化作用時間を求めた.
花成強度は, 連続低温処理区に比べて24℃以上の断続低温処理区で低く, 高温処理温度が高いほど, また, 1日当たりの高温処理時間が長いほど低くなった.特に, 24および30℃で1日当たり6および8時間の高温処理を行った場合に, 花成強度は大きく低下した.
断続低温処理を行った場合の1日当たりの春化作用時間と離春化作用時間を求めることにより, 低温遭遇中の高温の影響を定量的に把握することができた.24℃で1日当たり8時間あるいは30℃で1日当たり6時間の高温処理では低温処理で30~40%程度が離春化されるものと考えられた.

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