応用生態工学
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事例研究
ノースクリーク川と氾濫原の復元:
ミティゲーションを超えた湿地生態系の復元事業について
一井 直子
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2006 年 8 巻 2 号 p. 157-164

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抄録
米国·ワシントン州ボーセル市における復元事業を報告した.この復元事業は新キャンパス建設に伴うミティゲーションがきっかけであったが,事業主であるワシントン州政府はミティゲーションの領域を越え,湿地生態系全体を復元する大規模な復元事業を実施することを決定した.湿地生態系の評価手法であるHGMアプローチが採用され,復元サイトに対応するリファレンスサイトが選定されて湿地機能が与えられた.そしてこれをもとに,影響評価,復元計画,モニタリングプランや不測事態措置の作成が行われた.復元計画ではリファレンスサイトを参考にして,新河川システムの設計や擬似倒流木の設置,植栽計画が検討された.建設工事は造成工事,植栽作業,雑草の制御から構成された.建設工事終了後,メンテナンスとモニタリングが復元計画に従って開始された.建設工事終了後,復元サイトの管理はワシントン大学に委譲され,ガイドラインを作成して復元サイトを管理し,教育や研究目的にも有効に利用している.
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© 2006 応用生態工学会
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