高知県宿毛市に位置する横瀬川ダムの建設事業に伴い,水田生絶滅危惧植物を対象とした保全対策を実施した.水田生絶滅危惧植物が生育していた水田の表土をビオトープへ移植し,水稲を栽培しない状態で,耕起,代かき,湛水などを行った.2020 年~2021 はビオトープの漏水によって湛水状態が維持できず,代かきが行えなかったこともあって,水田生絶滅危惧植物は 1 ~ 4 種が生育するにとどまった.2022 年は維持管理前に漏水対策を行い,ビオトープの湛水状態が維持でき,十分な代かきを行ったところ,ミズネコノオ,ミズマツバ,ミズキカシグサ,スズメノハコベ,クロホシクサ,マルバノサワトウガラシの 6 種が生育し,水田生絶滅危惧植物の保全に関する維持管理の効果が確認できた.