応用生態工学
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ツルヨシ除去によるバイカモ群落の復元手法
安藤 義範笹田 直樹山本 孝洋内 智子国井 秀伸
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2001 年 4 巻 2 号 p. 153-162

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抄録
兵庫県北部を流れる田君川は,標高10数mという西日本としては極めて低標高にバイカモが生育する河川である.かつては大規模なバイカモ群落が見られたが,河川の全域を覆うほどツルヨシの繁茂が著しく,近年ではそうした群落が減少しつつあった.そこで,バイカモ群落を復元する手法を検討する目的でツルヨシの除去実験を行った.ツルヨシの除去は手刈り及び重機(バックホウ)を用いて行った.その結果,手刈りによるツルヨシ除去は1ヶ月に1回の刈り取りを3回以上行うことでツルヨシの群落高の抑制に有効であること,水面上の照度は年間2回以上の刈り取りで増加すること,ツルヨシの衰退とバイカモの植被率の増加には相関があることなどが確認された.重機によるツルヨシ除去はバケット部をシャベル形とし河床材料とツルヨシを全て取り除く方法(河床浚渫法)とバケット部をフォーク形として株状に成長したツルヨシのみをつかみ取る方法(ツルヨシ株除去法)で行った.その結果,河床浚渫法,ツルヨシ株除去法ともに処理後バイカモの植被率は増加したが,ツルヨシ株除去法を用いた方がより早くバイカモの植被率が増加した.また,バイカモの植被率の増加は重機処理区よりも手刈り処理区の方が早いことが確認された.
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