応用生態工学
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長良川河口堰建設後の浮遊藻類発生とその環境影響
村上 哲生
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2002 年 5 巻 1 号 p. 41-51

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抄録
長良川河口堰が完成した1994年以来,建設省・水資源開発公団が収集してきた資料等に基づき,河口堰が浮遊藻類に及ぼす影響を調査し,さらに,既存の藻類発生や水質汚濁についての予測を再検討した.
河口堰の建設後,低流量の時期,特に晩春から秋にかけて,頻繁な浮遊藻類の発生が認められた.優占的な種類は,中心珪藻類であり,夏にはCyclotellaa tomusとC.me-neghinianaが,冬には,Stephanodiscus spp.が目立った.また,藍藻類の集積現象が見られることもあった.河川軸に沿った藻類の分布は,流量によって変化する増殖と沈降の速度により決定された.浮遊藻類相とその密度の変動から,河口堰の運用により,堰湛水の滞留日数が長期化し,真の河川棲浮遊藻類の増殖が促進されたものと判断された。藻類生産の増加にも関わらず,法に基づく環境基準は概ね達成されているが,これは堰直上流での沈降と動物プランクトンによる摂食の効果と考えられる.水利用に関しては,河口堰湛水が給水されている浄水場での活性炭の使用量と藻類量の変動が無関係ではないことが注目される.
河口堰運用後の河川富栄養化の現状評価と改善には,日本の河川における一次生産の概念の見直しと,誤った理解に基づく過去の予測の見直しが必要である.
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