学校教育における消費者教育は半世紀近い歴史を持つが,20年前から実施された高等学校家庭科の男女共修(必修)により,その中心教科は社会科・公民科から家庭科へ移行した。家庭科は,従来の被服,食物中心の教科から消費者教育や環境教育などを含んだ広領域の教科としてその充実を図ってきた。しかし,その授業内容を見ると優れた授業実践も多いが,2単位の「家庭基礎」を選択する学校が大半を占めると,授業時間の少なさもあり,生徒に知識を注入し暗記させる授業が多くなり,消費者教育推進法にいう「自立した消費者」を育成できるか心もとない。家庭科と公民科など教科間の連携,総合的な学習の時間の活用など各学校での主体的な工夫が期待される。