日本の産業界では,グローバル化の進展に加えて,少子高齢化による労働力人口の減少が進むなか,近年の構造的な労働力不足を背景に,職場の「ダイバーシティ推進」が進んで,多様な人々のさまざまな違いを尊重して受け入れ,活かしていく「ダイバーシティ&インクルージョン」が掲げられるようになってきている。本稿では,大学生がこれからの時代を生きていくためのレディネスを高めるために,ダイバーシティを「個人の特性」という視点で捉え,学生一人ひとりの「自分らしさ」を引き出し,協働的な学習によって相互成長を図る授業実践を取り上げる。そして,個人のダイバーシティ開発を促すという視点から授業を考察し,報告するものである。