2020 年 39 巻 39 号 p. 155-170
本研究では,高校生4,308名を対象に,行動経済学的特性に関する質問を含んだ独自調査を実施し,ジェンダー差に着目して検証を行った。分析の結果,高校生の方が成人以上に比べてやや近視眼的な側面があるが,成人以上で明らかになっていた特性が高校生にも一部当てはまること,高偏差値校の男子校の男子と女子校の女子は高偏差値校の共学校の男女と比べて「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきであるか」という質問について賛成と反対に有意差があり,ジェンダー・ステレオタイプであること,高校生の行動経済学的特性は,単純な男女差よりもジェンダー・ステレオタイプか否かが関係していることが明らかになった。