2020 年 39 巻 39 号 p. 171-180
平成29年版中学校学習指導要領において「経済についての見方・考え方」がより詳しく明示され,一つの単元で考察,構想,表現をしていく授業が求められるようになった。「教科書で」よりも「教科書を」という考え方で授業を行う社会科教師が多いなかで,教科書の記述内容を分析していくことは,今日の経済教育の現在地を示すものになると考えられる。本研究では,教科書分析を行う上でより詳細な視点を得られることができる,アメリカの経済教育研究・運動団体が示す経済リテラシーをもとに,平成20年版中学校学習指導要領に準拠した現行の教科書を分析し,経済的社会化を目指した経済単元に関わる授業開発の方向性を明らかにしていく。