Edaphologia
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丹沢山地から得られた標本に基づくシノハラツメジムカデ(和名改称)の補足的な記載
塚本 将島野 智之
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2018 年 103 巻 p. 17-24

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抄録
神奈川県伊勢原市大山のスギ林から得られた3 個体の標本に基づいてシノハラツメジムカデ(和名改称)の補足的な記載を行った.これにより,額溝が後方に湾曲すること,大顎に4 枚の櫛葉を有すること,第1 小顎の基節突起の基部内縁が弧を描くこと,第1 小顎の基節突起の透明片が基部より急に伸びること,第2 小顎は爪を欠くこと,顎肢転前腿節に発達した歯を有すること,顎肢脛節に発達した歯を有すること,顎肢跗爪の基部に三角形の歯を有すること,顎肢の毒腺は少なくとも脛節に届くこと,基節腺孔は10–14 個であることが種を定義する特徴であると明らかになった.加えて,触角に分布する感覚毛の種類と形態を明らかにし,各節における数を示した.  本種はこれまで模式産地である秩父市周辺以外では知られていなかった.したがって丹沢山地から得られたこれら3 個体はシノハラツメジムカデの分布の新記録である.本種の分布は埼玉県秩父市大滝お経平(模式産地) と神奈川県伊勢原市大山(本研究)となる.  従来, 本種にはニホンニブズジムカデという和名があてられていた. ニブズジムカデという和名はツメジムカ デ属Arrup のジュニアシノニムとなったニブズジムカデ属Nodocephalus にあてられたものであった. したがって,ツメジムカデ属に所属する種に付けられた他の和名に揃えて,本種の和名をシノハラツメジムカデと改称した.
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© 2018 日本土壌動物学会
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