抄録
ミミズが土壌の生態系機能に及ぼす時空間的な影響を理解するためには、特に研究例が乏しい多雪地帯の様々な景
観におけるミミズ群集のフェノロジーについて理解を深める必要がある。本研究では、北海道北部の隣接する落葉広
葉樹林と常緑針葉樹林において、積雪期間を含む1年間を通じてミミズの個体密度や現存量などを調査した。概し
て、夏よりも積雪深が120 cm になる冬の方が優占度は小さい傾向を示した。一方、ミミズの個体密度については、その季節変動パターンは2 つの森林間で異なった。落葉広葉樹林では、個体密度は夏に最大、冬に最小となった一方、常緑針葉樹林では明確な季節変動を示さなかった。2 つの森林間でのミミズの個体密度の季節変動が異なることは、2 つの森林間での生態系機能( 土壌の窒素循環など) の季節性の違いへ繋がっている可能性があり、今後、研究を進める必要がある。