Edaphologia
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北海道苫小牧市におけるアオオサムシの生息の確認とDNA 分析 による移入元個体群の推定
丹羽  慈佐伯 いく代
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2020 年 106 巻 p. 19-23

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抄録

アオオサムシは主に本州東部に分布する日本固有のオサムシである.北海道ではこれまで函館市および美唄市からしか記録されていなかったが,新たに苫小牧市での生息を確認した.苫小牧市の都市部の孤立林2 地点で本種が捕獲されたが,郊外の連続林では全く捕獲されなかった.捕獲された雄2 個体についてミトコンドリアDNA のNADH 脱水素酵素サブユニット5(ND5) 領域の解析を行った結果, 地理的に近い北東北ではなく,南東北の個体と配列が一致した.これらの結果は,苫小牧における分布が本州を起源とする人為分布である可能性を強く示唆している.①苫小牧は本州との物流が盛んであること,②本種は開けた森林や草地を好み都市部の樹林にも生息可能なことが,本種の侵入・定着の可能性を高めていると考えられる.

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© 2020 日本土壌動物学会
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