1991年の台風19号による被害から7年を経過したブナ林のギャップ跡地で, 単位時間採集法によるアリ相の調査を行ない, 隣接するブナ老齢林及びブナ若齢二次林のアリ相と比較した。ギャップ跡地のアリ相はブナ林に比べて単純化していたが, その差は植生の違いから予想されたほど大きなものではなかった。既報の資料と比較した場合, 森林と攪乱地開放地のアリ相の違いは、概して低標高地より高標高地で小さくなる傾向が認められた。このことは, 高標高地においてアリ類を指標生物として利用するには注意が必要であることを示唆している。