Edaphologia
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キシャヤスデ(Parafontaria laminata armigera VERHOEFF)雄の内部生殖器官の形態と生殖細胞の量的変化
藤川 粋至吉田 利男
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2005 年 78 巻 p. 5-10

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抄録

2001年の秋に成虫が徘徊した乗鞍個体群の標本をパラフィン包埋し, H-E染色で処理した切片を用いて, 組織像の観察と計測をおこない, 輸精管と精巣の断面積から, キシャヤスデ雄が保有する生殖細胞の量的変化を調べた.キシャヤスデの輸精管は, 倍脚類に一般的なはしご型であった.形態が明瞭な精巣は第9体節から後方の体節に存在し, 輸精管をはさんで2列に配列していた.精巣内に見られる生殖細胞は, 冬眠以前の2001年10月のものには未成熟のものが多く, 冬眠中の2001年12月以降に観察された生殖細胞のほとんどは精子になっていた.精巣の大きさは, 2001年10月に採集したものが最も大きく, 翌年の7月までその大きさは減少し続けた.一方, 輸精管は2002年6月までその断面積を増大させたが, 7月には収縮した.このことから, 6月から7月の間にキシャヤスデ雄は保有する生殖細胞を大きく減らしたと推測でき, この時期に雌との交尾により, 精子を受け渡した可能性が示唆される.

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© 2005 日本土壌動物学会
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