教育社会学研究
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教育における排除と包摂
酒井 朗
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2015 年 96 巻 p. 5-24

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抄録
 本論文は社会的排除と社会的包摂の観点から,現代日本における社会と教育の関係や教育の各領域で見られる課題について検討する。多くの先進産業諸国では,さまざまなセクターが相互の連関に問題を生じさせており,十分な社会的統合が達成されなくなっている。J. ヤングは,こうした社会体制の全体的な変貌を排除型社会の到来だと指摘した。排除型社会において教育は,社会問題に対処するための人生前半期の社会保障の1つとして注目されているが,その一方で,そのような社会の到来は,実際の学校教育や子どもの生活や学習に大きな影響を及ぼしている。すなわち,今日,学校は労働市場と円滑に接続することができず,一群の人々は社会に対して十分な参加を得られずに大きなリスクを負っている。
 また,学校教育は,そのシステム内部に累積的な排除の初期段階のプロセスを抱えている。本論文では不就学や高校中退,長期欠席などの「学校に行かない子ども」の問題について,それらが社会的排除の初期段階になりうるという問題関心から,その実態について検討した。
 社会的包摂にとりくむ上で学校教育がなし得ることは,リスクの高い子どもに対して関心を高め,関係機関が連携していくことや,社会的排除の観点から教育制度を精査して改革を図ることである。質保証が叫ばれている高校教育についても,社会的包摂の観点から具体的な提案をなすことが求められている。
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© 2015 日本教育社会学会
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