生物多様性条約のもとでの新たな世界目標に関して, 2030 年までに陸域と海域の30%を保護・保全するという目標(いわゆる30by30)が議論されている。これに伴い,わが国でもOECM に関する国内制度である「自然共生サイト(仮称)」の試行が開始され,企業などの関心も急速に高まっている。30by30 目標の達成によって,防災・減災への寄与などのNbS 効果も期待される。本稿は,こうした内外の情勢の中で,30by30 目標の基礎なる保護地域の歴史的な流れについて確認し,30by30 実現のカギを握ると考えられるOECM 誕生の背景や今後の実装に向けての課題について議論を試みる。