2023 年 52 巻 1 号 p. 89-95
本研究では,日本固有の海崖生植物ラセイタソウがハードスケープ(硬質な人工構造物)に生育していることに着目し,ハードスケープの海崖生植物保全への活用可能性を検討するための研究を行った。 北海道南部松前矢越道立自然公園内の海岸付近の道路沿いで野外調査を実施した結果,19 箇所のラセイタソウ群落を記録し,このうち11 箇所(57.9 %)が擁壁,路面間隙などのハードスケープであった。ハードスケープで確認されない海崖種も見られるが,ラセイタソウは本来の生育地である岩崖と同等に豊富であることから,海崖生種のために人工壁を創出する手法が代償ミティゲーションの一環としてあり得ると考えられた。