抄録
農業収益の悪化を背景とする農地の受け手の減少が荒廃農地発生の基本的な要因であり,今後も増加が予想される。不在地主や所有者不明農地の存在は権利関係を複雑にして農地利用調整コストを押し上げ,問題の解決を難しくしている。また,農地の「負動産」化に伴い,環境・国土保全にマイナスの影響を与えかねない転用も進んでいる。これに対し,荒廃農地の発生状況を把握して農地再生を進める仕組みや農地を相続した者の農業委員会への届け出の義務化,所有者不明農地の農地中間管理機構を通じた貸付制度などの対策が講じられてきた。だが,こうした制度が実効性を発揮するための鍵は農地の受け手の存在にあり、その見通しは明るくない。