【目的】「1日に野菜を5皿以上食べること」を目標とした行動変容ステージを評価するための日本版アルゴリズムと習慣的野菜摂取量及び認知的要因との関連を検討すること。
【方法】新潟市内に社員食堂を有する20の企業施設に属する20~59歳の成人男性勤労者を対象に,2009年9月に自記式質問紙調査を実施した。野菜摂取量の測定は簡易型自記式食事歴法質問票を用い,認知的要因は知識及び自己効力感の尺度より把握した。行動変容ステージの評価は目標行動の実施度と行動変容の準備性の2段階で構成したアルゴリズムを用い,各関連について検討した。
【結果】解析対象521名 (中央値42歳) の行動変容ステージは前熟考期58.5%,熟考期20.7%,準備期13.8%,実行期+維持期6.7%であり,これらと年齢との間には有意な関連 (p=0.028) がみられたが,BMIとの間には関連がなかった。1,000 kcal当たりの野菜摂取量は,中央値で前熟考期 88.2 g,熟考期 78.4 g,準備期 98.9 g,実行期+維持期 116.8 gとステージ間で有意な差 (年齢調整後 p=0.004) がみられ,認知的要因もステージ間で差がみられた。また,1日に食べる野菜の皿数と野菜摂取量との間には強い正相関が認められた。
【結論】本行動変容ステージのアルゴリズムは,半定量的な野菜摂取量及び認知的要因との間に明確な関連がみられた。集団への評価指標としての活用等が考えられるが,個人への活用に際しては誤分類に留意する必要がある。