栄養学雑誌
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原著
エゾウコギ摂取が閉経後早期モデルマウスの肝臓薬物代謝酵素および骨密度に及ぼす影響
東泉 裕子松本 雄宇西出 依子山内 淳竹林 純渕野 裕之河野 徳昭吉松 嘉代川原 信夫石見 佳子
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2017 年 75 巻 6 号 p. 151-163

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抄録

【目的】本研究は健康食品素材として利用されているエゾウコギ(EZ)の安全性および有効性に関する科学的根拠を提供することを目的とし,閉経後早期モデルマウスにおける肝臓薬物代謝酵素(CYP)および骨密度に対する影響を検討した。
【方法】試験1において,8週齢のddY雌性マウスを標準食摂取群,ヒトの健康食品におけるEZ摂取目安量を含むEZ摂取群,その10倍量EZ摂取群および100倍量EZ摂取群に分けた。試験2,3においては,マウスを偽手術(Sham)群,卵巣摘出手術を施した閉経後早期モデル(OVX)群,OVX+EZ摂取群,OVX+10倍量EZ摂取群に分けた。試験1及び2はEZ摂取14日後,試験3はEZ摂取28日後に解剖し,肝臓CYPおよび骨密度へのEZの影響を評価した。
【結果】正常マウスにおける,14日間の100倍量のEZ過剰摂取は,肝臓CYP2B10 および2C29遺伝子発現を亢進した。OVXマウスにおける,14日間の10倍量EZ摂取は,肝臓CYP2C29,3A41 遺伝子発現を亢進した。28日間の10倍量EZ摂取は肝臓CYP2D活性を阻害する一方で,エストロゲン欠乏により生じた脛骨骨密度の低下を抑制した。
【結論】EZ摂取は肝臓CYPに影響するとともに,エストロゲン欠乏に起因する骨密度の低下を抑制する可能性が示された。これらの結果より,EZの過剰摂取は一般的な食品の範囲をこえた作用をもつ可能性があることから,EZは食品というよりも生薬としての利用が適切であることが示唆された。

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© 2017 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
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