栄養学雑誌
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研究ノート
小・中学生の学年区分別にみた咀嚼習慣と肥満との関連
井邉 有未赤松 利恵
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キーワード: 咀嚼, 体格, 肥満, 小学生, 中学生
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2021 年 79 巻 5 号 p. 286-292

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抄録

【目的】高校生や成人では,咀嚼習慣と肥満の関連が知られている。本研究では,小・中学生を対象に咀嚼習慣と肥満の関連について学年区分別に検討する。

【方法】港区教育委員会が実施した小・中学生対象の食育に関するアンケート調査のデータを使用した。体格,咀嚼習慣について,男女,学年区分別にχ2 検定を行った後,痩身傾向・標準体重と肥満傾向の2群に分類し,男女別に肥満と咀嚼習慣について,χ2 検定,ロジスティック回帰分析を行った。

【結果】解析対象は,平成30年1月現在港区の小・中学校に通う計8,704人だった(解析対象率95.0%)。ロジスティック回帰分析の結果,未調整のモデル1,学年で調整したモデル2,学年,身体活動,朝食頻度,夜遅い食事,就寝時間,スマートフォン使用時間で調整したモデル3で,噛まない子どもは,噛む子どもに比べ,痩身傾向・標準体重より肥満傾向である可能性が示された[モデル1:男子のオッズ比2.17(95%信頼区間1.69~2.78),女子2.06(1.34~3.20);モデル2:男子2.14(1.67~2.75),女子2.04(1.32~3.16);モデル3:男子1.94(1.50~2.52),女子1.89(1.20~2.98)]。

【結論】小・中学生において,よく噛まずに食べる咀嚼習慣は,学年や肥満に関連する生活習慣で調整すると,男女とも肥満に関連していた。

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