栄養学雑誌
Online ISSN : 1883-7921
Print ISSN : 0021-5147
ISSN-L : 0021-5147
研究ノート
京都府内の大学の学生食堂における食事と食情報の提供実態
高畑 彩友美小谷 清子吉本 優子福田 小百合尾崎 悦子東 あかね
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 79 巻 5 号 p. 293-301

詳細
抄録

【目的】京都府内の大学の学生食堂において,行政が推進する地産地消・食環境整備事業の登録と,食事と食情報の提供実態を明らかにし,大学生の健康増進のための食環境改善について検討すること。

【方法】京都府内の全34大学11短期大学の全72食堂の食堂運営者を対象とした自記式質問調査を2017年に実施した。運営主体によって組合事業組織が運営する食堂(以下,「組合」)と,一般事業者が運営する食堂(以下,「一般」)に区分,さらに,行政が推進する食環境整備事業への登録状況から,登録群と非登録群に分けて比較した。調査項目は,食環境整備事業への登録,食事提供の形態,食事の内容,食・健康情報の提供内容等の12項目である。

【結果】63食堂(「組合」33件,「一般」30件, 回答率87.5%)から回答を得た。行政が推進する食環境整備事業への登録は「組合」20.0%,「一般」34.5%であった。「一般」では非登録群と比較して,登録群では野菜料理,米飯量の調節,魚料理,定食の提供の割合が有意に高値であった。食情報の提供の割合は,登録群,非登録群間に差はなく「一般」より「組合」で高値であった。

【結論】食環境整備事業への登録が「一般」での健康的な食事の提供と関連している可能性が示唆された。今後,行政,大学及び食堂運営者が連携し,学生食堂の食環境の改善と新しい形態の食情報提供により,学生の健康増進を図ることが望まれる。

著者関連情報
© 2021 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
前の記事 次の記事
feedback
Top