2022 年 80 巻 1 号 p. 69-77
【目的】高度経済成長期で子どもの体格は向上したが,その要因の一つと考えられる当時の学校給食の変化は知られていない。そこで,高度経済成長期に学校給食で使用された食材の特徴を年代区分別に把握することを目的とした。
【方法】2019年3月,高度経済成長期(1955(昭和30)~1973(昭和48)年)のうち,得られた広島市の1957,1959~1966(昭和32,34~41)年度の小学校給食の献立表の昼食献立を解析対象とした。献立の料理数,使用食材数,使用された食材を調べた。提供された年度で献立を「導入期(1957,1959,1960年度)」「成熟期(1961~1963年度)」「変革期(1964~1966年度)」に分けて,各年代区分の献立の特徴をχ2 検定,Kruskal-Wallis検定を用いて比較した。
【結果】1,445日の献立を得た。料理数と使用食材数は変革期で最も多かった。年代区分別で食材の使用の有無に違いがみられ,増加したものは豚肉,鶏肉,牛乳,マヨネーズなどであった。減少したものは鯨肉,じゃがいも,にんじん,たまねぎ,みそなどであった。また,年代区分別の一日の調味品類の使用種類数で差がみられ,導入期より成熟期,変革期で多かった。
【結論】高度経済成長期の期間で,学校給食の料理数,使用食材数は変化していた。鯨肉の使用が減り,豚肉,鶏肉の使用が増え,使用される調味品類の数も増えていた。