栄養学雑誌
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三交替制における尿疲労反応
河田 正治高居 百合子
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1953 年 11 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

東京都淀橋警察暑警察官13名について, パトロール勤務時に於ける尿疲労反応を試みた。朝勤, 昼勤, 夜勤の三交替制に於て, なるべく同一被検者を対象として, 勤務時の相異による疲労度を比較せんとした。尿疲労反応としては, 尿中の色素凝結に対する保護能力 (竹屋-川田反応) 尿中ケトエノール物質の測定 (浜崎氏法) を試み, 同時に尿量, 尿のpH, 尿中無機燐量の測定, 並に自覚症状について調査した。
その結果は,
1) 竹屋-川田反応によると, 朝勤, 昼勤に於ては, ほゞ同程度の疲労を示し, 軽度乃至中等度疲労を示した。夜勤に於ては, 中等度或は高度に近い疲労を示した。
2) 疲労は概して勤務の初めに於て低く, 勤務時間の経過に伴つて高くなる傾向が認められた。
3) 浜崎氏法による尿中ケトエノール物質による疲労度判定に於ては, 朝勤, 昼勤共に軽度の疲労を示し, 夜勤に於ては中等度疲労を示した。
4) 竹屋-川田氏法による疲労判定結果と, 浜崎氏法によるそれとは, ほぼ一致していることを認めた。
5) 尿量, 尿のpH, 尿中無機燐濃度, 1時間当り尿中排泄無機燐量について, 昼勤と夜勤とを比較してみると, 夜勤に於ては, 1時間当りの平均尿量は減少し, pHは下降して酸性に傾き, 無機燐濃度は増大する傾向が認められたが, 平均1時間当り尿中排泄無機燐量には著明の差異は認められなかつた。
6) 自覚症状に於てば, 夜勤に於ては, 朝勤昼勤よりも強い疲労感を訴えていることが認められた。

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